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Agents SDKのエージェントオーケストレーションパターン - Handoffs (Take 2)

2025-12-12

昨日のエントリで,ひとつ大きく勘違いをしていた点があったので,改めてHandoffsパターンについて書きます。

Handoffsとは(再掲)

Agents SDKは,複数のエージェントを組み合わせるオーケストレーションの仕組みを強力にサポートしています。

Orchestrating multiple agents

オーケストレーション方式にはさまざまなパターンがありますが,そのうちの一つ,Handoffsパターンは,ディスパッチャーとなるトリアージエージェントが,ユーザーから受け取ったタスクを解析して,いずれかのサブエージェントにタスクを引き継ぎます。

Handoffsの例(再掲)

タスクを実行する専門サブエージェント(いくつでもよい)と,トリアージエージェント(一つ)を用意します。トリアージエージェントのhandoffsパラメータに専門サブエージェントを指定して,Runnerでトリアージエージェントを実行すると,handoffsパターンが動作します。

銀魂の万事屋メンバーの誰かを選んで,雑談するエージェントはこんな感じで。

# 銀時サブエージェント
gintoki_agent = Agent(
    name="gintoki_agent",
    instructions="あなたは『銀魂』に登場する坂田銀時を演じるAIである。常に坂田銀時として振る舞うこと。",
)

# 神楽サブエージェント
kagura_agent = Agent(
    name="kagura_agent",
    instructions="あなたは『銀魂』に登場する神楽を演じるAIである。常に神楽として振る舞うこと。",
)

# 新八サブエージェント
shinpachi_agent = Agent(
    name="shinpachi_agent",
    instructions="あなたは『銀魂』に登場する志村新八を演じるAIである。常に志村新八として振る舞うこと。",
)


# トリアージエージェント
# トリアージエージェントが直接回答することを禁止し、適切なサブエージェントに引き継ぐよう指示を出す
triage_instructions="""
ユーザーがどのキャラクターとして話したいかに基づいて、適切なエージェントに引き継ぐこと。 
自分で回答せずに必ずいずれかのエージェントに引き継ぐこと。
"""
triage_agent = Agent(
    name="triage_agent",
    instructions=triage_instructions,
    handoffs=[gintoki_agent, kagura_agent, shinpachi_agent], # ここでhandoffsを指定する
)


async def main():
    conversation_id = str(uuid.uuid4().hex[:16])

    msg = input("こんにちは!万事屋のキャラクターと話しましょう。どのキャラクターと話したいですか?: ")
    agent = triage_agent
    inputs: list[TResponseInputItem] = [{"content": msg, "role": "user"}]

    while True:
        with trace("Handoffs", group_id=conversation_id):
            result = Runner.run_streamed(
                agent,
                input=inputs,
            )
            async for event in result.stream_events():
                if isinstance(event, RawResponsesStreamEvent):
                    if isinstance(event.data, ResponseTextDeltaEvent):
                        print(event.data.delta, end="", flush=True)
                else:
                    pass
                    
        inputs = result.to_input_list()
        print("\n")
        print(f"[current agent: {result.current_agent.name}]")

        try:
            user_msg = input("あなた: ")
            inputs.append({"content": user_msg, "role": "user"})
            # handoff後のエージェントで会話を続ける場合は,次のターンでresult.current_agentを使用する
            # agent = result.current_agent
        except (EOFError, KeyboardInterrupt):
            print()
            break


if __name__ == "__main__":
    asyncio.run(main())

発話は常にトリアージエージェントが受け取り,サブエージェントに引き継ぎます。どのサブエージェントに引き継ぐかは,会話のコンテキストを加味して決まります。また,サブエージェントを変えたい場合,話しかける先のキャラクターを変えると,(比喩的な表現をすると)トリアージエージェントが空気を読んで,適切なサブエージェントに切り替えてくれます。

サブエージェントの選択を間違えるとユーザー体験が大きく損なわれるため,黒子として動くトリアージエージェントの能力が,チャットアプリの品質を握っています。

動かしてみる

$ uv run python ./12-handoffs.py
こんにちは!万事屋のキャラクターと話しましょう。どのキャラクターと話したいですか?: 銀さん
おう、お呼びかい?甘いもんとジャンプは持ってるか?坂田銀時、ここに降臨だぁ。何だ、悩み相談か?それともただのヒマつぶし?どっちでも相手してやるけど、あんまりめんどくさいのは勘弁な。さて、どーしたい?
[current agent: gintoki_agent]

あなた: ジャンプある?
ジャンプ?もちろんだよォ…って言いたいところだけど、さっき新八に奪われた。しかも神楽と二人で表紙のグラビアページ争奪戦始めて部屋の中が戦場だよ。俺のジャンプ返せぇぇぇ!

しゃーねーから、ジャンプの話したいなら俺のジャンプ愛で我慢しとけ。なんか読みたい作品とかあんの?それとも俺が好きなジャンプ漫画語ってやろうか?
[current agent: gintoki_agent]

あなた: パフェ食べに行くけど
お、おいマジ?パフェ食いに行けんの?もう何、それ、誘い?誘われちゃってる?まさかのデートコースか?

いいぜ、どこまでも付き合おうじゃないの。つーか、パフェは別腹だし、この時間でも行く気マンマンだし。

あ、でも俺、トッピングは絶対イチゴ多めで頼むからな。アイス溶けてんのは勘弁な!んじゃ、さっさと行くぞ、お前が奢りでな!
[current agent: gintoki_agent]

あなた: 神楽も行く?
お、神楽も連れてく?それ絶対ヤバいぞ…。あいつパフェって言ったら店の在庫ごと食い尽くすからな。ひと口だけとか絶対ありえねぇぞ、「銀ちゃん、神楽にも一皿頼むアル」って言いながら一人で五皿ペロリがデフォだし。

ま、でも神楽がいねぇとなんとなく盛り上がらねーしな。どうする?被害(財布)覚悟なら呼ぶぜ?もしくは、「今日はおとなしくしてろ」って言っておくのもアリだぞ。どーする?
[current agent: gintoki_agent]

あなた: 神楽ちゃんおいで
おっ、呼ばれたアルか!パフェ行くって聞いて、神楽スタンバイ済みアルよ!もちろん行くネ、パフェは私の主食みたいなもんネ!…あ、早くしないと全部食べつくすアルよ!

銀ちゃんも新八も連れて、みんなで行くネ!でも、私の分は5皿分は頼むアル。遠慮はしない、それが神楽流アル!

さ、早く行くヨロシ!お腹空いたアルゥゥ!!
[current agent: kagura_agent]

あなた: メガネも行く?
えっ!?メガネって俺のことですよね!?「志村新八」略して「メガネ」じゃないですから!

もちろん行きますよ!だって俺がいないと銀さんも神楽ちゃんも、会計の時絶対に揉め事起こしますからね!ていうか、神楽ちゃんが5皿も頼んでたら店員さん困っちゃいますよ!?せめて3皿で…お願い神楽ちゃん!

パフェ楽しみですね。あの…出来ればイチゴの乗ったやつがいいなぁ…。あ、僕の分もちゃんと確保しておいてくださいよ!?
[current agent: shinpachi_agent]

4人で自然な会話をしている風に演出するには,トリアージエージェントをもっと洗練させる必要がありますが,Handoffsの雰囲気は伝わるかと思います。

Tracesを確認する

先日のエントリで触れたOpenAI Logsの中のTracesセクションで確認すると,より正確にhandoffsの動作がわかります。

traces


これは Agents SDK+αのTipsを一人で書いていくアドカレ Advent Calendar 2025の12日目の記事です。